武富整形外科ブログ

2021.01.04更新

正月だけ休みだったので「介護殺人ーー追いつめられた家族の告白」の2章だけ読みました。今の介護制度のあり方が善良な介護人を追い込んでいく事が、現場で働いていても分かります。徘徊や昼夜逆転、大声を出す困った認知症の患者ほど入所できないのです。逆に意識のない寝たきりの患者ほど介護度も高く入居しやすいようになっています。家族にとってどちらの方が、介護する上で肉体的にも精神的にも辛いでしょうか?24時間、目を離せない状況で睡眠もままならず、働きに出ることもできないため経済的にも追い詰められていく、まさに命を削っていくような生活をせざるを得ないような社会制度です。コロナもしかりです。発熱があれば、診察もせず検査する前から、他の病院か検査センターに行くように指示を受け、そこへ行けば元のかかりつけ医に行くように言われ、患者さんは右往左往してどこに行けばよいのかわからないまま時間が経ち症状が進行したりします。僕らの小さい頃は、近所の人が皆、おせっかいで親代わりでした。夜遅くになれば怒られ、悪いことをしては注意され、食事も食べさせてくれたり、風呂も入ったこともありました。僕は、大学時代バックパッカーで海外旅行を50カ国以上行きましたが、みんな親切でした。特に貧しい国ほど、家族愛に満ち溢れ、一家団欒の場で質素ですが温かい食事を頂きました。皆さん、見て見ぬ振りをしていませんか?僕だっていつ何時ボケるかもしれないし、障害者になる可能性もあります。誰だって同じ境遇になる可能性があるのです。僕の大好きな作家、山本周五郎の「つばくろ」という小説で心打たれる一節があります。「みんなが重い荷を負っている。境遇や性格によって差はあるが、人間はみなそれぞれなにかしら重荷を負っている。生きていくとゆうことはそういうものなんだ、そして道は遠い・・・・ 互いに援けあい力を貸しあってゆかなければならない、互いのいたわりと助力で、少しでも荷を軽くしあって苦しみや悲しみを分け合ってゆかなければならない。自分の荷を軽くすることは、それだけ他人の荷を重くすることになるだろう。道は遠く、生きることは苦しい、自分だけの苦しみや悲しみに溺れていてはならない」

投稿者: 武富整形外科

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